「乳がんは11人に4人が罹患する病気」と聞いたとき、あなたはどう感じるでしょうか。もしかすると、「自分には関係ない」と感じるかもしれません。しかし、この数字は決して無視できるものではなく、いつ自分に起こっても不思議ではない数字なのです。このように高確率で発症する乳がんは、乳がん検診を受けることで早期発見できます。
すべてのがんは体質の遺伝、家系が原因と思われがちですが、ライフスタイルや生活習慣によって引き起こされることもあると考えられており、乳がんも例外ではありません。
もちろん、実際に血縁者の中に乳がんや卵巣がんなど、婦人科系統のがん患者がいる、良性乳腺疾患の既往歴があるといたことに該当する方は、そうでない方よりも乳がん発症率が高いといわれています。
また、経口避妊薬を継続的に服用している場合では、そうでない方よりも乳がんを発症しやすいともいわれています。
しかし、ライフスタイルや生活習慣が乳がんの原因になる可能性があるのなら、誰にでも乳がんのリスクがあるということなのです。
では、それはどのようなライフスタイルや生活習慣なのでしょうか。
このようになっています。
ただし、これらに当てはまる項目があったとしても、必ずしも乳がんを発症するということではありませんので、あくまでも参考程度に留めておいてくださいね。
乳がんは、進行すると生命を落とす可能性がある病気です。
しかし、乳がん検診で早期発見できれば、簡単な手術でがん細胞を取り除くことができ、そのまま健康に過ごせる確率が高くなります。
そしてこの場合では、乳房を取り除かずに完治を目指せるのです。
それてはここで、乳がんのステージについて少し触れておくことにしましょう。
乳がんのステージは、以下の4つのステージに分類されています。
ステージ | 状態 | リンパ節転移 |
---|---|---|
ステージ0 | 乳房の中に小さなしこり(原発巣)ができている状態 | なし |
ステージ1 | しこりの大きさが2㎝以下 | 脇のリンパ節への転移あり |
ステージ2A | しこりの大きさが2~5㎝ | 脇のリンパ節への転移なし |
ステージ2B | しこりの大きさが2~5㎝ | 脇のリンパ節への転移あり |
ステージ3A | しこりの大きさが5㎝以上 | 脇のリンパ節への転移あり |
ステージ3B | しこりの大きさを問わず | 脇のリンパ節に転移あり、または脇のリンパ節には認めず胸骨傍リンパ節に転移あり |
ステージ3C | しこりの大きさを問わず | 皮膚や胸壁浸潤があるもの |
ステージ4 | 胸から離れた場所(骨、肺、肝臓、脳などの臓器)に転移あり |
参考:https://www.nanbu.saiseikai.or.jp/cancer/explain/breast-cancer/
社会福祉法人 恩賜財団 構成回横浜市南部病院
http://www.v-next.jp/contents_03.htm
がん患者サービスステーション TODAY!
このようになっています。
なお、ステージ0では5年生存率が95.5%なのに対し、ステージ4では約30%とかなり低くなります。
つまり、おかしいと感じる、感じないに関わらず、定期的に乳がん検診を受けて、乳がんの早期発見に努めることが大切だということです。
乳がんは、早期発見できれば簡単な手術で治療を受けられますが、ステージが進むにつれ抗がん剤治療などが必要になることもあります。
そして、この段階になってしまうと、完治できないかもしれないという恐怖心とも戦わなくてはならなくなります。
そうならないためには、おかしいと感じなくても定期的に乳がん検診を受けておくことが大切なのです。
定期的に乳がん検診を受ける大切さについて、ご理解いただけたのではないでしょうか。
それでは次に、乳がん検診の種類について確認しておくことにしましょう。
医師が目で確認する視診と、実際に手で触れてしこりの有無を確認する方法です。
この方法は手軽ではありますが、しこりがある程度大きくないと乳がんの発見が難しいというデメリットがあります。
マンモグラフィとは、乳腺や乳房専用に開発されたレントゲンで、石灰化という乳がん特有の特徴を見つけやすく、しかも初期の乳がん発見も可能というメリットがあります。
この検診では、乳房を上下または左右から機械に挟みこんで行うため、人によってはやや強い痛みを伴うことがあります。
なお、この方法はX線撮影で行うため、妊娠中の方は不可となっています。
X線撮影ではなく超音波を使用する方法のため、妊娠中の方でも受けられる検診です。
若い年代の方の乳がんは発見しにくいといわれていますが、超音波では比較的正確な検査結果を得られるというメリットがあります。
超音波は胎児の様子を確認する際にも用いられ、専用ジェルの塗布後に機械を当てるだけですので、痛みを感じることなく検診を受けられます。
それでは、乳がん検診を受けるタイミングや費用についてご紹介します。
乳がん検診は、しこりを自覚できたタイミングで直ちに受けなければなりません。
一方、特に異常が現れていない方の場合では、焦って今すぐに受けなくてもかまいません。
とはいえ、乳がん検診は定期的に受けることが理想とされていますので、中高年だけでなく若い年代の方も、1年に1回ないしは2年に1回を目安として受けることをおすすめします。
乳がん検診は、検診内容によってかかる費用が異なりますが、視診・触診検診では3,000円~4,000円、マンモグラフィ検診では1回5,000円前後、超音波検診では1回4,000円前後がおおよその費用の目安です。
ただし、これはあくまでも目安で、実際に乳がん検診を受ける医療機関によってばらつきがあります。
費用が心配なら、検診を受ける予定の医療機関のHPや電話、メールなどで確認しておくと良いでしょう。
また、各自治体で検診を受けられる場合では費用ゼロとなることもありますので、各自他体から検診案内が送られてきたら、検診内容と自己負担額を確認しておきましょう。
乳がんは、放置すると生命が脅かされる恐ろしい病気ですが、早期発見で早期治療を受ければ、大事に至る確率を減らせるのです。
近年、「他人に胸を見られるのが恥ずかしい」などの理由から、乳がん検診を避けて通る方が多いといわれていますが、検診を行うのは医療のプロ、恥ずかしいことなど何もありません。
第一、恥ずかしいからという理由で乳がん検診を受けず、実は乳がんを発症していたなどということが起こったら、本当に泣くに泣けないでしょう。
そのようなことにならないためにも、1年に1回ないしは2年に1回は乳がん検診を受けて、いつまでも健康で過ごせる身体を目指しましょう。