選択的夫婦別姓制度って?

現在の日本において、結婚して夫婦になるとどちらかが姓(名字)を変える必要があります。これは法律で定められていることなのですが、夫婦が自由に姓を選択できるよう、法改正を求める動きが活発化しているのはご存じですか?

結婚すると女性が姓を変え、「夫の家の一員になる」というのが日本での昔ながらの価値観でした。しかし、女性の社会進出や社会のグローバル化など、社会環境が大きく変わる中でそのような価値観は変わりつつあります。

強制的に姓が変わることに違和感を持つ人も増えている現在、姓が自由に選べる「選択的夫婦別姓制度」について改めて考えてみましょう!

日本の法律では、結婚するとどちらかの改姓が強制される

現在の日本では、結婚でどちらかの姓が変わることについて、以下のように民法と戸籍法で定められています。民法第750条では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」、戸籍法第74条では、婚姻届の記載事項に関して「夫婦が称する氏」を届け出なければなりません。

つまり、日本では「夫婦同姓」が義務づけられていて、例外的に夫婦別姓が認められるのは国際結婚した場合のみです。ちなみに、日本で夫婦同姓が定着したのは明治時代以降とされています。

また、結婚により姓を変えるのは女性という夫婦の割合は96%になります。そのため、一昔前までは子どもに女の子しかいない家庭は、家系存続のためにお婿さんに来てもらわないと…と考える人も少なくありませんでした。

ただし、社会情勢の変化とともに、結婚によって生まれ持った姓を強制的に失うことや、当然のように「女性が合わせる」ことに対して強烈に違和感を持つ人も現れます。夫婦別姓を求めて、たびたび裁判が起こされているのはニュースなどで見聞きした人も多いはずです。

夫婦別姓についての裁判、最高裁の判断は?

「夫婦同姓」の強制は憲法違反であるという内容の訴えに対して、最高裁判所では2015年と、つい先日の2021年6月23日の2回にわたって司法判断が下されています。

訴えの具体的な内容は、結婚によって強制的に姓を変えなければならないことが、個人の尊重を定めた憲法第13条、法の下の平等を定めた憲法第14条1項、婚姻や家族に関して男女の平等を定めた憲法第24条に違反しているというものです。

2015年に下された最高裁の司法判断は「合憲である」。夫婦で同姓であるべきという民法の定めは、どちらの姓にするかは夫婦間の協議に委ねられていて強制ではない点、姓を統一することは合理的である点、旧姓の通称使用が緩和されている点などがその判決理由でした。

「夫婦別姓」を認めないことは、憲法に違反しないと判断されたものの、裁判長は「夫婦別姓については国会で論じられるべき」とも延べています。しかし、その後「夫婦別姓」について、保守的な意見が強いこともあり、法整備について具体的な動きがないまま現在にいたっています。

その間にも複数同様の裁判が起こされていて、そのうち1件は先日6月23日に司法判断が下り、やはり夫婦同姓は合憲であると判断されました。その見解も2015年の時とはほぼ変わらず、「国会で議論されるべきである」としています。

選択的夫婦別姓制度に求めること

夫婦で同じ姓を名乗ってもいいし,希望する夫婦は結婚前のそれぞれの姓を名乗ることも認める…これが選択的夫婦別姓制度で求めることです。ちなみに、これと似た考えに「例外的夫婦別氏制度」というものがあります。

「例外的」が「選択的」と違う点は、夫婦同姓の決まりは原則として残し,別姓を希望する場合は例外として認めるというものです。選択的の方が、より個人の意志やアイデンティティを尊重して自由に別姓を選択できる考えとも言えますね。

ちなみに、平成29年に行われた法務省の調査では、結婚に際してどちらかが姓を変える必要がある現在の法律について「法改正の必要はない」が29.3%、「法改正してもよい」が42.5%となっています。この調査をもう少し細かく見てみると、意外なことに男女別では賛否の割合にほとんど差はありません。

一方、年代別に見ると「法改正しても良い」という考えは、70歳代以上は28.1%にとどまっているのに対し、未婚の人や結婚して年数が浅い人が多いと考えられる18~29歳は50.2%、30~39歳は52.5%と高い数字です。

若い世代、とりわけ新婚さんで姓の選択に直面する世代は、選択的夫婦別姓制度について肯定的な考えであることが分かりますね。昭和の時代と違い、今では夫婦共働きは普通となって女性も稼ぐし、核家族化が進むことで「婚家に入る」という概念も薄れています。このような時代の当事者だからこそ、選択的夫婦別姓制度を求める声も高まっているのでしょう。

夫婦別姓と事実婚の違いはどこにある?

現在の法律上、婚姻届を提出すれば必ず夫婦どちらかが改姓しなければなりません。そのため、戸籍上で改姓したくないけどパートナーと一緒になりたい場合は、事実婚という選択肢があります。

事実婚の場合、法律的には夫婦ではないので、例えば配偶者控除など税制面の優遇はありません。また、子どもが生まれるとその戸籍は自動的に母親側に入り、親権があるのは母親のみとなります。パートナーが亡くなった場合、法律上の結婚をしていると配偶者は遺産として財産の2分の1を相続する権利がありますが、事実婚だと遺言書でもない限りその権利は発生しません。

いろいろと優遇が無いのは事実ですが、別れても戸籍にはのらず、身軽な点はメリットと言えるでしょう。ただし、事実婚であると認められるためには、住民票の記載で続柄表記を妻(未届)と記載するなど、一定の証明をする必要がある点にも注意が必要です。

選択的夫婦別姓制度が導入された場合は、別姓を選択しながら法律上でも夫婦になれるので、事実婚のデメリットは解消されると考えられます。身軽な事実婚を選ぶか夫婦別姓で結婚するか、ここでも選択肢が広がりますね。

メリットとデメリットは?

選択的夫婦別姓制度の導入を求める声が多く聞こえてきますが、結婚によって生まれ持った姓を捨てずに済むという以外にもメリットは多くあります。一方でデメリットも無いわけではなく、これをどのように調整して制度化するのかといった点も、制度導入に向けての課題となります。メリットとデメリット、双方を詳しく見てみましょう。

5つのメリット

姓の強制変更がなくなり、結婚に前向きになれる

自分の生まれ持った姓について、愛着は人それぞれです。どんなに愛着があっても、結婚すると夫婦どちらかが必ず姓を変えなければならず、特に日本においては圧倒的に女性が姓の変更を迫られます。自分の姓がとても珍しいなど、愛着がある女性ほど姓が変わることに対してプラスのイメージは持てません。

また、姓と名前で運勢の良い画数になるように名づけられた人は、男女問わずたくさんいます。結婚したい相手の姓と自分の名前が、画数的に相性が悪い場合、名前に関しては女性側が一方的に我慢を強いられることに…。

どちらの場合も、姓の変更が結婚のハードルを上げる原因の一つとなってしまっています。現在の日本では、結婚するカップル数は減少傾向となっていて、少子化にもつながるので対策が急がれるのが現状です。結婚へのハードルを少しでも下げることを考えると、選択的夫婦別姓制度は問題解決にプラスに働く可能性は十分にありますね。

「女の子だけで跡継ぎがいない」がなくなる

子どもが女の子しかいない家庭だと、家を途絶えさせないために婿養子に来てくれる相手しか許さない!なんてことは、一昔前まではよくあったことです。男性が姓を変えることが一般的ではない日本では、それに抵抗を持つ家庭も少なくないので、結婚となると揉めてしまう場合もあります。

男の子=跡継ぎと考える人は、年齢層が上がるほど多くいる傾向です。女の子=姓が変わるから跡が継げないということかもしれませんが、男尊女卑的な考え方にもなり、もう今の時代には合いませんね。選択的夫婦別姓制度が導入されれば、結婚しても姓は途切れず存続するので、このような考え方も薄れていくかもしれません。

姓の変更に伴う手続きが不要になる

姓が変わると、戸籍上の自分の名前が変わることになります。これにより、身分証明に使う運転免許証やパスポート、各種資格の証明書、銀行、クレジットカード…とにかく途方もない数の名義変更が必要です。

これにかかる作業も大変で、オンラインでは行えないことも多数あります。結婚直後の忙しい時期に行わなければならないのはかなりの負担となるので、これがなくなるだけでもメリットは大きいです。

通称を使う必要がなくなる

営業職や販売職、指名制のある仕事、アーティスト、…名前を覚えてもらうことが仕事の一部のようになっている職業はたくさんあります。結婚で姓が変わると、そのまま旧姓を使い続けるか、新しい姓で改めて覚えてもらうか難しいところです。新しい姓だと、付き合いが長い相手ほど覚えてもらうのが大変ですよね。

一方で、慣れ親しんだ旧姓の方を通称として使い続ける場合、会社の書類上は新姓、呼び名は旧姓など使い分けが難しくなります。そんな社会的な面倒ごとも、別姓が可能になれば本人の意志で旧姓を使い続けられるので解消できます。

また、通称は日本国内だけでの「呼び名」となるので、海外では通用しなくなります。例えばホテルの予約を通称で行い、身分証明を求められてパスポートを提示した場合、名前が違うので本人と確認できずトラブルに発展する場合もあるのです。

姓が変わらないから離婚・再婚のハードルが下がる

結婚したものの、さまざまな事情で離婚となる夫婦の現在では珍しくありません。離婚となると、姓については再び旧姓に戻るか、社会的な都合で元配偶者の姓を名乗り続けるか選ぶことができます。

旧姓に戻るなら再び名義変更に走り回ることになり、名前が戻ったことで臨まなくても離婚したことが周囲に広まってしまいます。元配偶者の名前を使い続けるのも、場合によってはあまり気分の良いものではありませんね。

もとから夫婦別姓が認められていれば、姓に関することで離婚が不利に働くことは少なくなります。本当は別れたいけど、一度変わってしまった姓を元に戻すことに抵抗があるという人は少なからずいるでしょう。選択的夫婦別姓制度が離婚を推し進めるというわけではありませんが、望まない状態で結婚生活を続ける人にとっては、離婚のハードルは下がると考えられます。

同様に、再婚する場合も夫婦別姓が選択できるならそのハードルは下がると考えられます。また姓が変わったら周囲からの視線が気になる、子どもの姓も変えることで学校生活に影響が出そうなどの悩みは解消されますね。

4つのデメリット

家族の一体感がなくなる

同一性=ファミリーネームという考えもあり、夫婦で姓が別々、子どもがどちらかの親と姓が違うとなると、家族の一体感が無くなることが危惧されています。家族という一つの単位から個人に分けられることで、離婚率が上がる可能性もありますね。

ただ、離婚のしやすさはメリットにもデメリットにもなります。家族の一体感という点では、それぞれの家族の感覚によるところが大きいです。

子どもの姓で揉める可能性がある

別姓の夫婦に子どもが誕生した場合、必ずどちらかの姓に決めなくてはなりません。すんなり決まれば良いですが、両家の親まで介入してきたり、そこに「跡取りの男の子」のような価値観を持ち込まれるととたんに揉める可能性が高くなります。

「3種類の夫婦」が混在することになる

選択的夫婦別姓制度では、夫婦は自分たちの姓を自由に決めることができます。従来通りどちらかの姓で統一、夫婦別姓、戸籍上は同姓だけど通称で旧姓利用と、姓のパターンは3種類です。

何か公的な手続きが必要になるたび、相手は個別に確認作業が必要となり、業務が煩雑化する恐れがあります。また、そこにどんな事情があるのかが分からない第三者としては、センシティブな問題として気軽に触れてはいけない話題になる可能性も。今までは家族全員同姓が当たり前だったので、急に選択肢が増えるとさまざまなところでひずみができてしまうのです。

戸籍法や民法の改正も必要になる

戸籍法第6条では、夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに戸籍を編成すると定められています。つまり、姓が同じでなければ同じ戸籍には入れないので、現行法のまま選択的夫婦別姓制度が導入されると、戸籍は別々で夫婦になるということになります。もし戸籍が別々のままだと、生まれてくる子どもはどちらか名乗る方の姓の戸籍に入ることになりますね。

例えば子どもが母親の姓を選んで母親の方の戸籍に入ると、特に手続きをしない限り父親は法的に扶養義務が発生しないことになります。さらに、父親が他界しても別戸籍ということで遺産の相続権が無い場合もあるのです。

そのため、もし選択的夫婦別姓制度を導入するのなら、戸籍法の改正も同時に検討しなければなりません。別姓でも同一の戸籍に入ることを認めるのか、1人ずつ個別で戸籍を作るのかなど、難しい議論になることは必至です。

また、民法に関しても「夫又は妻の氏を称する」の部分については改正しないと矛盾が生じてしまいます。

世界ではどうなっているの?各国の同姓・別姓事情

メリットとともにデメリットも確認すると、単純な感情論だけでは結論が出ないことが分かりますね。個人の尊厳や自由を重視したい一方で、現行法のもとでは夫婦同姓のほうが利便性が高いということもあります。

ただし、世界的に見て日本が特殊なのは、改姓するのは女性と暗黙の了解のように決まっている点です。このような現状の夫婦同姓規定について、国連の「女性差別撤廃委員会」は日本に対して法改正するよう再三にわたって勧告しています。

最初の勧告は2003年と、今から18年も前のこと。2016年に3度目の勧告を受けたあと、2018年にも法改正について再度勧告されましたが、最近になってこれが政府に報告されず2年以上放置されていたことが発覚しました。

選択的夫婦別姓制度の議論については、日本は後ろ向きと言われても仕方のない状況ですね。では、世界の国々では夫婦や家族の姓について、どのような取り決めがあるのでしょうか。

新しく姓を作ることもできる⁉自由なイギリス

先進国の中で、おそらく最も姓に関して自由度が高いのはイギリスです。姓に関する法的な制約が特になく、結婚すると同姓、別姓、お互いの姓をつないだ結合姓の他、ミドルネームに旧姓を入れる、さらには二人の姓を掛け合わせて新しい姓を作ることも可能です!

日本の姓に置きかえて説明すると、山田さんと田中さんが結婚したとします。すると、姓の選択肢として山田、田中のどちらかで同姓またはそのまま別姓、結合して山田田中、掛け合わせて山田中なんかも可能ということです。

同姓・別姓・結合姓から選ぶドイツ

ドイツではかつて夫婦は夫の姓で同姓でなければなりませんでしたが、何度かの法改正ののち、1993年に姓の選択肢が3つに広がりました。同姓、別姓の他に結合姓も認められていますが、夫婦の間に生まれた子どもに結合姓は認められず、どちらかの姓にしなければなりません。

通称が正式に利用できるフランス

フランスでは、身分証明書など公的書類に関しては出生時の姓を一生使うことになるので、制度上は夫婦別姓です。ただし、通称が社会的に認められていて、身分証明書にも出生時の姓とともに記載ができます。

通称として使用できるのは配偶者の姓や結合姓で、2013年に通称に関する法改正があり、夫が妻の姓を名乗ることも認められました。通称は旧姓の日本に対して、配偶者の姓が通称という点では日本と正反対です。

また、夫婦の子どもの姓に関しては、以前までは父親の姓のみ認められていましたが、2005年の法改正で父母どちらかの姓、結合姓(意見が一致しない場合はアルファベット順に並べる)から選べるようになりました。

韓国は別姓一択

韓国では、以前から夫婦別姓が基本です。子どもの姓に関しては、2005年の法改正までは父親の姓のみ認められていましたが、現在は母親の姓を選ぶこともできます。ちなみに、以前は日本のような戸籍制度がありましたが、2008年に廃止されている点にも注目したいですね。

国が変わればいろいろある!世界の姓制度

アジアを見てみると、ブータンでは姓は個別で定められ、もちろん結婚によりそれが変更されることもありません。ミャンマーではそもそも姓を持たない人が9割以上となり、結婚によって名前が変わることはありません。

また、メキシコは1人につき2つの姓を持っていて、子どもはそれぞれの姓を1つずつ受け継いだ姓となります。アメリカでは州ごとに法律が異なりますが、基本的には選択できるようになっており、同性婚の場合も異性同士と同様に姓の選択が認められているのが先進的ですね。

カナダもアメリカ同様に法律は州ごとに定められていますが、ケベック州では結婚による改姓はなんと「禁止」!日本の原則同姓とは真逆の法律となるので、ケベックの人が日本の婚姻制度を知れば、さぞかしビックリすることでしょう。

別姓が認められているけど事実婚が増えているヨーロッパ

ヨーロッパ各国では、結婚する際の姓に関しては選択肢があり、これに不満を持って結婚しないという選択をすることは少ないと考えられます。それでも、ヨーロッパでは近年事実婚カップルが増えていて、そもそも結婚に対する価値観が日本とは全然違うようです。

日本では、20代後半あたりになると周囲からの「まだ結婚しないの?」の圧は強まるばかり。未婚率が上昇している現在においても、「早く家庭を持って落ち着きなさい」「若いうちに結婚することは当たり前」といった風潮は未だにありますね。

ヨーロッパでは、男女ともに自立して生計を立てている場合が多く、経済的な面で結婚すると安定するという価値観はあまりありません。法律上の結婚は、単純に恋人と生涯をともにしたいという愛情の延長線上であり、法律で縛られる必要性を感じず事実婚を選択するカップルが多いのです。

社会的にも事実婚が一般的になっている国と、事実婚が不思議な目で見られることが多い日本では、夫婦別姓の受け入れ方が異なるのは当然ですね。何が良いかは一概には言えませんが、風土が違うヨーロッパの国々と全く同じような制度を作るというのは、日本での議論の進まなさを見ても難しいのでしょう。

夫婦同姓が法律で決まっているのは日本だけ⁉

世界各国の結婚と改姓の決まりを見てみると、ドイツのように同姓、別姓、結合姓から選択するパターンと、結婚により改姓する伝統がない(夫婦別姓)パターンで大部分が占められていました。ドイツのように、近代に入ってから法改正をして姓の選択肢が広がった国も多くあります。

では、日本では当たり前の夫婦同姓が原則の国はあるのでしょうか?実は、法律でキッチリ夫婦は同姓でなければならないと定められているのは、日本だけと考えられています。法の定めは無いけど慣習で夫婦同姓、という国も含めるとジャマイカがありますが、別姓や結合姓を名乗ることもできるため、自由度は高いです。

世界的に見ると、日本は独自路線とみるべきか、いつまでも男尊女卑の考えが根付く古い考え方の国と見るかは人によって判断が分かれるところです。それでも、国連から何度も勧告があることが示すように、女性にとっては少なからず不利益となることは間違いないでしょう。

「男女格差」という観点では日本は後進国

日本が国連から勧告を受けているのは、「夫婦同姓」を法律で強制しているからと言うより、姓の変更を迫られるのが96%の割合で女性だからという点にあります。もし夫婦同姓の義務をこれからも継続したとして、男女平等の社会だから男性が改姓する割合を半分まで増やそう!と目標を立てても、実現することは大変難しいでしょう。

このような男女間の格差を「ジェンダーギャップ」として指標化し、国別に指数を計算したものがあります。世界経済フォーラム(WEF)という機関が調査・指標化していて、判断の対象となるのは政治・経済・教育・医療の4分野での男女格差です。

調査対象は世界156カ国で、先進国はもちろん発展途上国も含まれていますが、指数をランキング化すると日本はなんと120位!G7(先進国主要7カ国)の中では、ダントツで最下位です。このような順位となった原因は、政治分野で147位と最下位に近い数字が出てしまったことにあります。

ちなみに、同様の調査は国際的な議員交流団体である列国議会同盟(IPU)でも行われており、こちらでは国会議員のうち女性が占める割合についてランキング化しています。2020年の調査結果では、世界の国々における国会議員における女性比率の平均は25.5%なのに対し、日本はわずか9.9%でした。この数字はやはりG7では断トツの最下位です。

政治の場で女性が少なく、保守的な考えの高齢男性が多い現実

もう一つ日本の国会議員に関する数字で興味深いのが、平均年齢の高さです。日本国民の平均年齢が45.9歳なのに対して、2019年に当選した国会議員の平均年齢は54.7歳。大臣クラスとなると、70歳以上の方も普通にいますね。

先ほど紹介した選択的夫婦別姓制度の賛成・反対の統計では、60歳台は33%、70歳以上は52%が現行の夫婦同姓を変えるべきではないと考えています。日本の国会議員においては、改姓を迫られる女性の数が圧倒的に少なく、上の立場にいくほど保守的な考え方の高年齢者が多いというのが現実です。

このような事実を見ると、政治における男女格差や高年齢化が、選択的夫婦別姓制度の議論がなかなか進まない原因とも考えられます。ただし、自治体単位で見てみると、例えば東京都議会はこの6月に「選択的夫婦別姓制度に係る国会審議の推進に関する意見書」を可決するなど、全国でこれまで214件同様の可決がされているのも事実です。

もちろん、全国どの自治体も賛成というわけではなく、岡山県議会や香川県議会などは反対の意見書を可決しています。自治体からさまざまな声があがっていくことで、これから国レベルでの協議も進んでいくことが期待できますね。

こんな時はどうなる?もし日本で選択的夫婦別姓制度が導入されたら…

もし日本で選択的夫婦別姓制度が導入されるとなると、気になることがいくつか出てきます。現在までも全く議論されてこなかったわけではないので、過去の法制審議会で出た答申をもとに、どのような方向性でいるのか見てみましょう!

子どもの姓はどうなるの?

夫婦別姓を選択した場合、子どもの姓をどちらかい決める必要があります。結合姓やミドルネームなどで、両方の姓を入れることができる国もありますが、日本の苗字では現実的ではなく受け入れ難いところがありますね。

平成8年の法制審議会の答申では,子どもの姓は結婚する時にあらかじめ決めておくべきという考え方を採用しています。子どもが複数人になる場合は、姓は全員統一する方向で考えられています。

子どもが姓を変えたがっている場合は?

生まれる前に決められた姓ですが、成長に伴いどうしてももう一方の姓の方が良いとなることも考えられます。こちらも上記と同じ審議会で、両親が婚姻中であれば、特別な事情の存在と家庭裁判所の許可があれば変更が可能としました。

また、成人後であれば特別な事情がなくても,家庭裁判所の許可を得れば姓を変更することができるとしているので、ある程度制約はありますが子どもが姓を選ぶ権利もあることが分かります。

すでに結婚していて同姓夫婦だけど、別姓にしたい

こちらに関しては、期限付きの特別措置として制度が施行された日から1年以内に届け出をすれば、旧姓に戻せるとしています。つまり、制度前に結婚した夫婦の姓については、選択的夫婦別姓制度内での取り決めはなく、特別措置期間を過ぎてしまったら婚姻を継続しながら別姓にすることは認められないということになります。

まとめ

導入するかどうかの議論が活発化しつつある、日本の選択的夫婦別姓制度。世界基準での男女平等という観点からは、結婚時に96%の女性が改姓を迫られることは差別的と受け取られています。

世界的に見ても非常に珍しい夫婦同姓の強制ですが、日本にいると当たり前で特に何も感じず受け入れてきた人も多くいます。憲法の制約、女性の地位向上、グローバル化する社会での日本の立ち位置…いろいろな問題が絡む選択的夫婦別姓制度ですが、最新の司法判断でも状況は変わっていませんでした。日本では、この議論の進展はまだまだ先になりそうですね。

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