厚生労働省では、1日350gの野菜を摂取するよう推奨していますが、そこにはあらゆる根拠が存在しています。意識しないと毎日摂れないのが野菜ですが、野菜が不足すると身体にあらゆる不調が現れやすくなるのです。こちらの記事では、野菜を食べることのメリットや、野菜不足で起こりやすい不調についてご紹介しています。
野菜の重さを意識して摂る機会はほとんどないため、1日350gの野菜といわれてもあまりピンときませんよね?
具体的にご紹介すると、生のキャベツの葉1枚ではおよそ60g、トマト1個ではおよそ150~200gとなっています。
こう聞くと、1日350gの野菜を摂るのは意外と簡単なのでは?と思えますよね。
ところで、厚生労働省ではなぜ、1日350gの野菜の摂取を推奨しているのでしょうか?
野菜を食べるメリットと合わせてご紹介しましょう。
多くの野菜には、ビタミン類やミネラル成分、食物繊維が含まれています。
これらの成分は、循環器系統の疾患予防やがん予防などに役立つとされ、それに必要なのが350g分の野菜に含まれている成分だといわれているのです。
また、野菜には淡色野菜と緑黄色野菜がありますが、できるだけこれらを半分ずつ摂るのが理想とされています。
このように、病気の予防という観点から、厚生労働省では1日350gの野菜の摂取を推奨しているのです。
なお、野菜に含まれている成分はサプリメントでも摂れますが、自然の野菜に含まれる成分をそのまま摂りたいなら、サプリメントよりも食事から摂るほうが望ましいでしょう。
上記でも触れましたが、野菜にはビタミン類やミネラル成分、食物繊維が含まれています。
そして、これらをバランス良く摂れるというのが、野菜を摂るいちばんのメリットなのです。
しかし、野菜を摂るメリットはこれだけに留まらず、以下でご紹介するメリットもあります。
たとえば、キャベツの葉1枚のカロリーはわずか11kcal、トマト中1個では30kkalですので、かなり低カロリーであることがわかります。
ということは、普段の食事で野菜を食べる量を増やせば、食べ過ぎを気にする必要なくたくさん食べられて、しかも満腹感を得やすいということになります。
また、他の高カロリー食品の食べすぎ予防に役立ち、ダイエットサポートにもなるというメリットも生まれてくるのです。
さらに、食前にトマトを1個食べておけば、それだけで食事の量を減らすことも可能になるでしょう。
トマトなら、2個食べたとしてもわずか60kcalですので、これをダイエットに利用しないという手はありませんよね。
もちろん、同じ野菜でもオイルを大量に使って調理してしまえばカロリーが跳ね上がります。
ダイエットを意識して野菜を摂るなら、なるべくオイルを使用しないように注意する必要があるでしょう。
野菜に含まれるビタミンCなどの成分は、体内での活性酸素発生率を抑えたり、除去したりする作用があるといわれています。
私たちが自然に取り込んでいる酸素のうち、約6%は体内で活性酸素に変換されるといわれています。
そうして生まれた活性酸素は、白血球とともに外部からの侵入者(雑菌やウイルスなど)を退治する働きをします。
しかし、喫煙や紫外線などで活性酸素の体内量が増えると、健康な細胞を傷つけて肌老化を速めたり、免疫力を奪ってしまったりすることがあるのです。
そして、野菜からしっかりと栄養成分を摂っておくことが、活性酸素の減少や免疫力のアップにつながるのです。
野菜に含まれる食物繊維には腸内環境を整える作用があるため、毎日摂ることが便秘または下痢、便秘と下痢を繰り返すといった不調の予防に役立ちます。
なお、食物繊維には水に溶けやすい水溶性と水に溶けにくい不溶性があり、腸内環境を整えるなら、これらをバランス良く摂るのが理想とされています。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は以下の野菜に多く含まれていますので、ぜひ参考にしてください。
【水溶性食物繊維が多い野菜】
ホウレン草、ゴボウ、モロヘイヤ、人参、ブロッコリー、春菊、エノキ、そら豆、えんどう豆など
【不溶性食物繊維が多い野菜】
大根、ゴボウ、人参、カボチャ、モロヘイヤ、アボカド、ブロッコリーなど
野菜を毎日350g程度摂っていれば、病気や免疫力の低下から遠ざかることができるということがわかりました。
一方、野菜が不足した場合では、どのような不調が起こりやすくなるのでしょうか。
腸内環境が悪化してまず起こること、それは便秘です。
便秘というとお腹が張って苦しい、ポッコリお腹の原因になるというイメージが強いかもしれません。
しかし、便秘が慢性化すると、腸内に溜まった老廃物(便)によって、食品の栄養成分の吸収能力が低下するという問題も起こるのです。
そしてその結果、肌細胞が栄養を受け取れなくなって肌荒れが起こりやすくなります。さらに、老廃物が腸内で発酵することで体臭や口臭がきつくなるといったトラブルが発生することもあるのです。
ビタミンや食物繊維はもともと私たちの体内に存在しない成分のため、野菜から摂らなくてはなりません。
とりわけ、ビタミンAには粘膜や皮膚の保護、ビタミンCとEには抗酸化作用があるため、これらが不足すると吹き出物や湿疹などができやすくなり、肌荒れも起こりやすくなります。
ビタミンには、代謝機能の活性化作用があるため、不足すると細胞が不活性化し、それによって疲れやすくなったり、溜まった疲れが抜けにくくなったりすることがあります。
代謝機能が弱まると、お肌のターンオーバー機能も低下し、化粧品を使ってもシミが薄くならない、くすみが改善されないなどのトラブルが起こりやすくなります。
野菜不足の救世主というイメージがある野菜ジュースは、野菜不足の解消に役立つのでしょうか?
実は、野菜ジュースに加工されると、野菜に含まれているビタミンB群やビタミンCは大幅に減ってしまうことがわかっているのです。
それでもビタミンEやβカロテンはしっかり残っていますので、野菜ジュースでも野菜に含まれる一部の栄養素は摂れるということなのです。
しかし、ビタミンB群やビタミンCが減ってしまうというのは見逃せない野菜ジュースのデメリットです。
このような理由から、野菜ジュースはあまり過信しないように注意する必要があるでしょう。
わかっていても、毎日しっかり摂るのが難しいのが野菜です。しかし、野菜は生で食べる、煮る、蒸すなど幅広い調理法で食べられますので、工夫次第ではとても食べやすい食材なのです。
野菜が不足すると、私たちが健康維持や病気予防などに必要な栄養素が不足し、病気や不調の元凶になってしまいます。
特に野菜不足によるがんや脳卒中の発症に関しては、厚生労働省でも警鐘を鳴らしていますので、そのような病気を予防するためにも、なるべく毎日野菜を摂ることを心がけてみてはいかがでしょうか。