コスメだけでなく、食品や衣料品など、さまざまなもので見かける「オーガニック」という言葉。体に優しい、健康、エコ、安全…このような、良いイメージを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
では、具体的にオーガニックを選ぶことで何が良いの?と聞かれると、ハッキリとした理由を答えるのは意外と難しいですよね。これまでは、なんとなく良さそうと選んでいたオーガニックコスメ。もっと詳しく知って、自分に合ったオーガニックコスメを選びましょう!
オーガニックとは、日本語で言うと「有機」と同じ意味となります。農作物に限って言うと、農薬や化学肥料を使わず、その土地の自然の恵みで育てられたものです。自然のままの状態で育てることで、その植物が持つ力を最大限に引き出されると考えられています。
また、化学肥料を使うことによって心配される人体への害の低減や、環境への影響に配慮するといった狙いも。ナチュラル志向の人がオーガニックを好むのは、こういった理由もあるからです。
ただし、日本においてはオーガニック製品の品質を示す公的な認証は食品のみです。食品でオーガニックや有機を表示する場合、有機JAS認証というマークが付きます。これは登録機関の検査・認証を受けることで表示が許可されるものなので、偽物がまざる可能性は限りなく低いと言えるでしょう。
一方、日本で売られているオーガニックコスメは、実はそう名乗ることに公的な検査や認証は必要ありません。オーガニックという言葉の捉え方もさまざまなので、実は多くの成分のうちの一つだけがオーガニックだったり、化学成分が普通に使われていたりすることも。
日本では、本当に良いオーガニックコスメかどうかは自分で見極めなければならないのです。そのための一つの判断材料となるのが、オーガニック認証になります。
日本では、公的な機関の認証制度はありませんが、民間にオーガニックコスメの認証機関がいくつかあります。例えばECOFIT(エコフィット)では、具体的な認証基準を確認することができます。こちらの機関では、植物原料の95%以上はオーガニックであること、オーガニックとは過去3年以上農薬や化学肥料を使っていない土地で栽培されたものと定めています。
その他、AFAS(アファス)、JONA(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会)といったところが認証を行っており、認証を受けたコスメにはそのマークが記載されています。
海外においてもコスメのオーガニック認証があり、最も有名なものとしては国際有機認定機関のECOCERT(エコサート)です。こちらはフランス発の機関で、世界基準とも言われています。認証は、基準の厳しさで以下の二段階に分かれています。
COSMECO(エコロジーラベル)
COSMEBIO(エコロジカル&オーガニックラベル)
この他、オーストラリアのACOやアメリカのUSDAなど、各国で独自の認定基準があります。海外コスメの場合は、こういった認証を受けているかどうかで本物を選ぶことができますね。
最近、コスメでは「ボタニカル成分配合」を謳う商品も多く販売されています。オーガニック同様、ナチュラルなイメージがありますが、ボタニカルを直訳すると「植物由来の」という意味になります。つまり、植物成分をちょっとオシャレっぽく言ったものがボタニカルということです。
オーガニックのような認証も無いので、ボタニカル成分というのがどのような環境で栽培されたのかは分かりません。原料にこだわったコスメを使用したいなら、ボタニカルではなくオーガニックコスメを選ぶのが良いでしょう。
自然の恵みを受けて育った植物、というと野生のものはまさにそうですよね。大自然の中で育った植物は、水や土は綺麗そうだしパワフルな生命力がありそうで、オーガニックのイメージそのものです。
ただし、オーガニックの定義として、徹底管理されて栽培されたものというのがあります。どんなに綺麗で豊かな土壌でも、栽培されていない野生の植物はオーガニックにはなれないのです。
オーガニックコスメを使用することの最大のメリットとして、肌が本来持つ力を引き出してくれるというものがあります。これはオーガニックの植物が農薬や化学肥料に頼らず、自分の力で害虫の存在や環境に適応することから、肌もその力を借りることができると考えられているからです。
例えば、化学的に合成された美白成分は、それはそれで効果が実証された有効な成分です。オーガニックコスメは、そういった特定の効果を得るのではなく、肌力全体を底上げするようなイメージです。肌が自分で潤い、代謝を上げて美しい肌に生まれ変わるサポートをしてくれるわけですね。
しかし、デメリットも無いわけではありません。肌に優しいイメージが先行していますが、必ずしも低刺激であるとは限らないのです。植物には植物毒が備わっており、口にしても問題のない成分でも、コスメでは刺激を感じてしまう人もいます。自然に任せた栽培方法であることから、同じ製品でも時期によってはその毒性が強く出てしまうことも。
それに加えて注意したいのが、先程も少し触れた「名ばかりオーガニックコスメ」。オーガニック植物原料はほんのわずかで、刺激の強い石油系成分やアルコール系保存料などが普通に使われているものも残念ながら存在します。認証マークが付いているものを選ぶ、成分表示を確認するなど、事前のリサーチも必要です。
知っているようで知らない、オーガニックコスメについてお伝えしてきました。オーガニックというだけで肌に優しいイメージが先行していましたが、コスメ選びは慎重に行わなくてはなりません。厳しい基準をクリアしている認定コスメを選ぶ、刺激のある成分が無添加なのかどうかを確認するなど、パッケージやキャッチコピーだけで選ばないのがポイントになります。
原料がしっかり厳選されたオーガニックコスメは、肌本来の力を引き出してくれる魅力的なコスメです。もし今のスキンケアが可もなく不可もなく…といった感じであれば、一度オーガニックコスメを試してみてくださいね!