食べ残しや買いすぎ、過剰生産による食品の破棄…いわゆるフードロスは、今世界的な問題として注目されています。単純に、加工食品を作りすぎなきゃいいんじゃない?なんて問題でもありません!家庭から出る「フードロス」もまた、驚くべき割合を占めているんです。
今回は、世界的な取り組みの一つでもあるフードロス削減について、分かりやすく解説!現実を知るとともに、今日からでもできることをお伝えします。
日本でも、最近フードロスに対して関心が高まってきています。特に近年話題となったのはクリスマスケーキや節分の恵方巻の大量廃棄問題ですね。また、SNS映えを重視した食べ物が増えたことで、写真を撮ったらほとんど手を付けすに捨てられてしまう現象も起きています。本当は美味しく食べられるのに、利益や映え重視で捨てられる…とてももったいない話です。
ただし、このようなフードロスはクリスマスや節分、一部の人に限った話ではなく、毎日のように全国で大量に発生しています。その量はなんと、年間612万トン!(平成29年度、農林水産省・環境省推計)スーパーやコンビニ、飲食店などから出る他、生産から出荷までの間に廃棄されてしまうものもあります。
日本のスーパーやコンビニでは、賞味期限切れの商品が普通に陳列されていることは基本的にはありません。もし人的ミスで陳列されていて、それを消費者が買ってしまったらクレームものですよね。
大手スーパーやコンビニなどでは、賞味期限が切れる一定期間前には店頭から商品が撤去され、廃棄扱いにされてしまいます。このようなフードロスは毎日大量に発生していて、お弁当やパン、総菜類などが開封されずにゴミ袋に詰められるという光景は、コンビニでは決して珍しくありません。
例えば、回転ずしでいつまでも回っている寿司ネタは、一定時間が過ぎれば廃棄されてしまいます。ビュッフェで残っているものも同様ですね。このように、食べられる前に廃棄される食品がある一方、食べ残しによるフードロスも問題です。
注文しすぎたり、ライスだけ残したり、付け合わせに苦手な野菜を残したり…作った人の顔が見えないファストフードやファミレスなどでは、食べ残しの罪悪感が薄れてしまいがちですね。
台風などで天気が荒れて、収穫シーズンの果物が落下してしまったというニュースは毎年のように見ます。農家の方の「売り物にならない…」と落胆した様子も同時に映されますが、これは見た目や品質を重視する基準から外れてしまい、出荷できなくなってしまったためです。
別ルートで売れば買うのに!と思う人も当然いるかと思いますが、それをするにも手間や時間、コストがかかってしまい、結局捨ててしまったほうが楽という方向にいってしまいます。
スーパーなどで売られている野菜や果物は、さまざまな基準をクリアすることで、綺麗に見えるだけでなく安心・安全で美味しく食べられる品質が保たれています。その一方で、たとえ味は同じであっても、基準がある限り一定量のフードロスは発生することになるのです。
廃棄量が途方もない数字で、どれだけの量か実感が湧きませんが、これは国連世界食糧計画(WFP)が紛争地域などで飢餓に苦しむ人達に援助した食料の1.6倍の量です。日本だけでこの量なので、もし飢餓に苦しむ人々に無駄なく食料が行き渡っていたらと考えると、ショッキングな数字ですね。
日本は世界的に見ても食料自給率が低い国で、食料のうち62%を輸入に頼っています。それなのに大量に廃棄されているという、なんとも矛盾した現実があります。
年間612万トンという数字をもっと具体的にすると、1人あたり毎日お茶碗1杯分。1年間で重さに換算すると、48kgもの量の「食べられる食料」を捨てている計算です。この数字は、家庭だけでなく小売店や飲食店なども含めた数字を一人当たりにしているので、そんなに捨てていない!と感じる人がほとんどでしょう。
でも、家庭で発生するフードロスの割合も、実はかなり大きいことを知っていましたか?フードロスは、家庭から発生するものが46%を占めています。何がそこまで数字を引き上げているのでしょうか。
家庭で発生しているフードロスとして思いつくのが、食べ残しと消費期限切れで捨ててしまうもの。ただし、この二つに関しては日ごろから気をつけている人も多いですよね。フードロスにはもう一つ、「過剰除去」というものがあります。
例えば、にんじんや大根の皮部分は食べられるけど捨てられがちです。りんごの皮も食べられるけど、捨ててしまう人もいますよね。こういったものも、フードロスとなります。普段何気なく捨てているものが、実はフードロスにつながっているのです。
今は飽食の時代とも言われ、さまざまな食品が次々に生み出されています。日本のフードロスも多い印象ですが、先進国の1人当たりの食品廃棄量(骨など食べられない部分も含む)はアメリカやフランス、オランダといった国々の方が多いです。とはいえ、日本はアジアの中ではワーストクラスの廃棄量なので、決して誇れる立ち位置ではありません。
一方、発展途上国でもフードロスの問題が起きています。こちらは生産や加工の段階に問題のあるケースで、適した時期に収穫できずに腐ってしまったり、加工段階で保存状態が悪く使えなくなってしまったりしています。
全世界で生産される食料は、およそ40憶トンと言われています。これに対して、廃棄される量はなんと13憶トン!なんと3分の1近くが捨てられていることになります。フードロスが発生する原因は先ほどお伝えしましたが、地域によってはその割合が大きく変わってきます。
例えば、日本をはじめとした先進国では、食べ残しや家庭での廃棄など、消費者段階でもフードロスが約4割を占めます。一方で、飢餓による栄養不足が深刻な国が多い、サハラ砂漠以南のアフリカでは、それが1割以下。代わりに生産や加工段階でのロスが大きくなります。
ちなみに、先進国で消費者が発生させるフードロスの量は2憶2200万トン。それに対して、上記のアフリカの地域で生産される食料は2憶3000万トンです。食料が飽和している国とそうでない国の差が、あまりにも大きいことが分かりますね。
現在、全世界の人口は約77憶人です。この人口に対して、生産される40憶トンの食料がそのまま全員に配分されれば飢餓は起きないとされています。しかし、現実は世界で9人に1人、8憶人以上が栄養不足状態です。
これから世界の人口はさらに増えることが予想され、30年後には98憶人を超えると推計されています。農作物を作る土地にも限りがあるので、フードロスの現状を改善していかなければ、世界的な食料不足の状態に。途上国を中心に、さらに飢餓人口が増えることになるのです。
フードロスは、食料がもったいない、将来の食料不足に備えられないなどの問題の他にも悪影響があります。
一つは環境負荷がかかること。食料を無駄に捨てるということは、それだけゴミを増やしていることになります。日本では焼却されるのが一般的ですが、これにも燃料を必要とし、燃やすことで二酸化炭素を発生させます。
また、世界に目を向けると、生ごみは埋め立てられることが多く、ここからメタンという温室効果ガスが発生することに。メタンの温室効果は二酸化炭素の25倍とも言われており、地球温暖化の原因ガスの一つです。
全世界で発生する温室効果ガスのうち、食料廃棄物から発生するのは全体の8%と高い割合です。地球温暖化は異常気象を引き起こし、食料の生産に大きく影響します。フードロスは、直接的に食料を不足させる原因となるのです。
例えば、農作物を作ったり、畜産動物を飼育したりには水は必要不可欠ですね。世界で利用されている水のうち、70%が食料を作るために使われています。また、それらの食料を生産するためには、土地も必要です。
先ほどもお伝えしたように、全世界の食品廃棄量は全生産量の約3分の1です。大量の水と土地が、捨てられる食料のために使われていると考えると、こんなに無駄なことはありません。
また、処分までにはたくさんの人の手が必要で、そこには当然コストもかかっています。このようなコストが食品の価格に含まれていると考えると、フードロスがいかに無駄なものなのかが実感できるのではないでしょうか。
フードロスの問題を解決するために、日本でも目標が設定されています。2030年度までに、フードロスの量を2000年の半分にするというものです。ちなみに、事業所から出るフードロスは2000年が547万トンだったのに対して、2017年には328万トンにまで減らすことができています。
これは、約20年前に事業者向けに「食品リサイクル法」が制定されたことが影響していると考えられます。この法律では、製造工程で発生する食品廃棄物の抑制と減量を目指し、最終的に処分する量を減少させることが目的です。例えば、家畜の飼料や農作物の肥料に加工し
「食品リサイクル法」は事業者向けの法律でしたが、2019年には新しく「食品ロス削減推進法」という法律が制定されました。この法律では、国民全体でフードロスの削減を推進させることが目的です。
一般消費者である私たちも、一人ひとりが日常生活の中でできることを考え、行動に移していかなければならないとしています。他人事ではなく、自分のこととして何ができるか考えていく必要があるのです。
フードロスを減らさなくてはならないのは分かったけど、具体的に何に気をつければいいのかピンとこない人も多いのではないでしょうか。まずは正しい知識を身に着けて、家庭から出るフードロスはもちろんですが、もう少し視野を広げて社会全体でフードロスが減らせるような行動を心がけましょう。
冷蔵庫に入っている食べ物で、「賞味期限」が過ぎてしまったものはどうしていますか?1日なら大丈夫、3日過ぎていたら捨ててしまうなど、食べ物によって「独自ルール」で判別している人も少なくありません。
まず、食品にはよく見ると「消費期限」と「賞味期限」の二つの期限があります。消費期限とは、主に劣化が早い食品(例えばおにぎりやデコレーションケーキなど)に表示されていて、安全に食べることができる期限のことを言います。このような食品は、消費期限が過ぎると腐敗が始まる恐れがあり、食べない方が良いとされています。
一方で、「賞味期限」は美味しく食べられる期限の目安で、乾物やインスタント食品、缶詰などに表示されていることが多いです。こちらの場合、劣化するスピードがゆっくりなので、期限が過ぎても食べられる場合が多いです。
たまごや牛乳は、使うタイミングを逃し続けて賞味期限が切れてしまった…ということが起こりやすいですよね。
たまごの場合、表示されている賞味期限は生食の期限で、パック詰めしてから2週間を目安に賞味期限を定めています。冷蔵庫で保存され、殻にヒビなどが入っていなければ、賞味期限が切れてから1週間程度はしっかり加熱調理すれば問題ありません。半熟や温泉卵にせず、黄身の中心までしっかり加熱できる調理方法を選びましょう。
牛乳の場合は、賞味期限の表示があっても開封してしまえばそれは無効となります。できるだけ早く飲み切る必要があり、品質の確認には「分離していないか」「臭くないか」「酸味がないか」など、自分で確かめる必要があります。
発酵食品は、それ自体が菌を使っているので腐るイメージがありませんよね。それでも賞味期限が設定されているので、期が切れてしまった場合の扱いは悩んでしまいます。まず、食べ物を発酵させている菌と、腐らせてしまう菌は別モノであり、発酵させることで腐敗菌の繁殖を防いでいます。
納豆の場合は納豆菌が強く、カビが生えることはほとんどないとされています。賞味期限が過ぎても食べられますが、ツンとした臭いがしたりシャリシャリした食感に変わってしまったりと、徐々に美味しい状態ではなくなっていきます。また、明らかにカビが生えていたり、水っぽくなっていたりするときは完全にアウト!そうならないためにも、買いすぎた納豆は冷凍保存がおすすめです。
ヨーグルトは開封後は雑菌が繁殖しやすいので、牛乳と同様早めに食べきりましょう。もし賞味期限切れしていて、見た目や匂いはなんともないけど食べるのに抵抗がある場合は、加熱する料理に活用してみてはいかがでしょうか。カレーの隠し味、ビーフストロガノフ、タンドリーチキンなどがおすすめです。
味噌は、賞味期限が過ぎてもあわてて処分する必要はありません。ただし、発酵が進むことで色が黒くなったり塩味が強くなるなど、見た目や風味は変化していきます。注意が必要なのは、減塩タイプや調味料入りの味噌です。こちらは雑菌が繁殖しやすいのでできるだけ早く使い切るようにしましょう。
意外かもしれませんが、味噌は冷凍保存も可能です。風味の劣化や腐敗を防ぐことができ、1回分ずつ小分けにして冷凍しておけば、お味噌汁を作る時に時短で便利ですよ!
冷蔵庫で保存するとすぐにしおれてしまう葉物野菜、気が付くと傷んでいる根菜類、水分が出てベチャっとしてしまったキノコ類…冷蔵庫に長期間入れっぱなしにして、食べられる状態ではなくなり捨ててしまった経験は、誰もが一度はあるのではないでしょうか。
このような野菜類は、ほとんどが冷凍保存できます。例えば、小松菜は下茹でなしで冷凍可能!洗って水気を取り、好みの長さに切って冷凍バックに入れるだけでOKです。また、傷みやすいれんこんも、酢水にさらしたあと生のまま冷凍すれば1ヶ月近く保存ができますよ!
大きすぎて使いきれない大根も、好みの大きさに切って冷凍しましょう。繊維が壊れるので、短時間の調理でも柔らかく、味が染みやすくなるというメリット付きです!キノコ類も、石づきをとってほぐして冷凍しておけば、使いたい時に使う分だけ解凍して調理できます。
冷凍保存をうまく活用すれば、フードロスの削減だけでなく時短調理になり、一石二鳥、場合によっては三鳥くらいにもなりますよ!
食材の使い切りは過剰除去を防ぐことにもつながり、フードロスを削減する上でかなり重要な部分です。今までは、大根の皮のキンピラなんて、いかにも節約料理な感じで食卓に出せない…と思っていた人もいますよね。
でも、このような食材使い切りレシピは、消費者庁も推薦するフードロス削減のための取り組みです。消費者庁では、レシピ投稿サイトのCOOKPADにフードロス削減レシピを多数掲載しています。(消費者庁のキッチン:https://cookpad.com/kitchen/10421939)
これまでは捨てるのが当たり前だった、スイカの皮やとうもろこしのひげを使ったレシピなどもあり、新しい発見がありますよ!一品おかずが増やせるので、節約にもつながります。地球環境の保護と節約の一石二鳥になるので、ぜひ取り入れたいですね。このような新しい「食材使い切り」レシピが、フードロス削減への意識を家族で高めることにもつながりそうですね!
家庭内でのフードロス削減に取り組む他、買う時にも捨てられる食品が出ないよう意識することが大切です。一つ一つは小さな取り組みでも、多くの人が行えば大きなフードロス削減につながります。
スーパーの陳列棚に並べられている商品は、基本的に新しいものほど奥に補充されます。必然的に手前に商品が古いものになるのですが、もちろん消費期限は切れていないはずです。
すぐに食べるのであれば、順番通り手前の商品から取るようにしましょう。消費期限が早いものでも間に合ったのに、新しいものを選んだせいで手前の商品は廃棄に…となれば、それはフードロスを発生させたことになります。
また、見切り品コーナーにあるのは、まさにフードロスに片足を突っ込んでいる状態の食品です!購入後冷凍すれば、長期保存できるものもあります。フードロス削減だけでなく上手な節約方法でもあるので、普段よく使う食品が無いかだけでもチェックしてみてくださいね。
買い物に行くと、美味しそうなものがたくさんあってつい買い過ぎてしまいますよね。あまりに無計画に買い物をしていると、消費期限切れの食品を多数発生させることになります。買い物に行く前に冷蔵庫を確認する、必要なものをメモにとってそれだけを買うなど、無駄買いを防げば、家庭内でもフードロスも自然と減るはずです。
規格外食品は、単純に見た目や大きさが規格を満たしていないだけで、味には問題がない場合がほとんどです。最近では、「規格外」や「ワケあり」として、正規品にはなれなかった食品が安く売られることも増えてきました。
家庭内で消費する分には、見た目にさほど気を配らなくてもいい場合があります。例えば、多少の欠けや潰れでワケあり扱いになっていたり、バームクーヘンやカステラの端が安く売られていたりというのは、見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。
少し前までは、捨てられるのが当たり前だったものかもしれませんが、味は同じです。こういったものも積極的に選ぶことで、規格外食品のニーズが生まれてフードロスの削減につながります。
フードロス削減のため、企業や各自治体でもさまざまな取り組みを行っています。外食時の食べ残しや自宅で消費しきれない食料、通販を利用したフードロス削減など、さまざまなシーンで取り組みに協力できます。
外食での食べ残しを持ち帰る「ドギーバッグ」は、アメリカでは50年以上前から一般的に行われてきました。一方、衛生面を重視する日本では、フードロス問題が顕在化してきたごく最近になって、大手外食チェーンでも食べ残しの持ち帰りができるようになってきています。
ドギーバッグ普及委員会というところが、以下のようなステッカーを作成しており、こちらが掲示してある飲食店では自己責任で食べ残しを持ち帰ることができますよ!
これなら、思ったより量が多くて食べきれなかった場合も、堂々と持ち帰ることができますね。
ランチセットなどを注文する際、最近の糖質オフブームもあって白ごはんなど主食を残す人も少なくありません。このように、最初から食べないことが分かっているのであれば、最初から量を少なくするように注文したり、おかずだけ単品で注文するなど「残さない」注文方法を選びましょう。
フードドライブとは、家庭で余っている食料を持ち寄り、福祉施設やこども食堂などに寄付する取り組みのことです。お中元やお歳暮、引き出物などは好みでない食べ物が入っていることもよくありますよね。イヤイヤ食べて結局食べ残して捨ててしまうよりは、フードドライブに持ち寄ってみましょう。
でも、そんな取り組みに出会ったことなくてどうしたらいいか分からないんだけど…?という人も中にはいるのではないでしょうか。最近では、自治体が積極的にフードドライブへの協力を呼び掛けています。
もし協力方法が分からなければ、「お住まいの自治体名 フードドライブ」で検索してみましょう。フードドライブを実施する日時や場所が出てくるので、食べそうにない食料が家にある場合は協力してみてくださいね。
形が悪くて店頭に出せない、消費期限までに商品をさばけずロスが発生しそう…そんな食品を、ネット通販サイトを通じて購入することでフードロスの削減に協力することができます。例えば、以下のようなサイトがあるので、興味がある人は覗いてみてくださいね。
全国の銘菓や、業務用高級食材の取り扱いが多い通販サイトです。スーパーで見かけることが無いものが多く、どれも美味しそうでつい目移りしてしまいます!
結婚式などの引き出物を中心に取り扱うサイトで、「グルメ・フードアウトレットコーナー」にてフードロス削減のための対策を行っています。引き出物のアウトレットということで、老舗菓子店のお菓子詰め合わせや豪華な縁起物など、届くとテンションが上がりそうなものばかりです。
PIARY:https://www.piary.jp/
こちらは全国のパンのお取り寄せ通販サイトですが、その中に店舗で売れ残り、本来なら廃棄となってしまう運命だった「ロスパン」の詰め合わせがあります。ロスパンが出るまで予約待ちとなりますが、パン好きな人ならぜひ利用してみたいですね!
Rebake:https://rebake.me/
全世界で問題となっているフードロスの問題は、各国でさまざまな形で対策が行われています。法律による規制ができていたり、企業ごとに独自の取り組みを行っていたりしますが、日本で参考にできることはあるでしょうか。
フランスでは、2016年に大型スーパーの食料廃棄を禁止する法律が制定されました。売れ残りの食品は、寄付もしくは飼料や農業肥料への転用が義務付けられたのです。違反すると3,750ユーロ(約47万円)の罰金が科せられます。
イタリアでは2003年から「良きサマリア法」という法律のもと、寄付する食料を集めてきましたが、2016年には食品廃棄量をさらに減らすべく「イタリア法」が制定されました。この法律では、フランスのように違反したら罰金のような厳しいものではなく、食料に寄付により税制が優遇されるといった内容です。
日本では、スーパーやコンビニで賞味期限が切れてしまった商品は容赦なく廃棄されてしまいます。一方、世界に目を向けると賞味期限切れの商品を安く販売するスーパーがあったり、賞味期限切れの商品を買うことでポイントを貯めるアプリがあったりと、企業レベルでもさまざまな取り組みが行われています。
フードロスの問題とは切っても切り離せないのが、SDGs(エスディージーズ)です。SGDsは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」という意味を持っています。
ファッションなどでもよく耳にする「サスティナブル」とは、「持続可能な」という意味です。例えば、地球環境に配慮して長期使用や再加工で価値を高めることがこれに当たります。
これだけではなんだか漠然としていてつかみどころが無い感じですが、SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された、2016年から2030年までに達成すべき17の目標のことです。このうち12番目に、2030年までに食品廃棄量を半減させる目標が含まれています。
他にも、飢餓の撲滅と持続可能な食料生産を達成させることなど、17の目標のうち7つがフードロスの削減と大きく関わっている項目です。その多さから、食料問題の深刻さがいかに大きいかが分かりますね。
例えば、フードロスの問題を解決せず食料生産量を増やそうとすれば、農地を増やすための森林伐採や魚の乱獲などを引き起こし、このような資源は持続不可能となってしまいます。また、さきほども触れましたが、廃棄された食料からはどの処分方法でも多量の温室効果ガスを発生させるので、地球環境全体もまた、持続が難しくなるのです。
フードロス削減のためのアクションは、ただもったいないから行うのではなく、地球環境の保全や将来の食料不足へのリスクの軽減など、世界レベルの問題を解決するために必要なことです。
家庭での食品の廃棄を少しでも少なくする、食べ残しを持ち帰る、通販で企業のフードロス対策に協力するなど、個人レベルでもできることは数多くあります。一人ひとりの削減量は小さいかもしれませんが、多くの人がフードロス削減を意識しなければ削減目標の達成は難しいでしょう。
これからの食卓は、節約も兼ねた食材使い切りレシピから、ちょっと豪華なロス食材のお取り寄せまでバリエーション豊かになりそうです。「もったいない」の先に世界レベルの問題の解決があることを意識して、今日からできることを少しづつ始めてみましょう!