エステサロンを個人で開業するにあたって必要な資格は何があるのでしょうか。チェックすべき民間資格・その費用・有効期限についてや、個人事業主として提出が必要な開業届・青色申告書について、ワールドジャパン株式会社広報の鈴木がINFA国際エステティック連盟認定のゴールドマスターを取得している綾子先生と一緒に解説します。
エステティシャンは看護師や建築士とは異なり、働くために必要な国家資格がありません。
つまり、開業しようと思えば誰でもできる職業がエステティシャンです。
極端にいえば、エステに関する知識はあまりない人でもエステサロンを運営しても違法ではありません。
もちろん、しっかりと経験を積み豊富な知識を持つエステティシャンも多数います。
独学で学び、個人で開業している人がエステティック業界に多い理由は、特別な資格や免許が必要ないためです。
エステサロンを開業するために必要な資格はありません。
しかし、専門知識を身に付けたり、お客様から信頼を得たりするために役立つのが、エステティック協会が定めた「日本エステティック協会の資格制度」です。エステティシャンは公的資格制度が設けられていないため、各団体や企業などがエステティシャン資格を認定しています。
例えば、エステ機器メーカーの「ワールドジャパン株式会社」では機器導入時にオリジナルのテストを実施。無事合格した方には、「しっかりとした技術者」の認定として、ディプロマをお渡ししています。こちらをサロン様に飾っていただくだけで、エステティシャンとしてお客様の前に立つときの自信にもなり、お客様の信用にも繋がります。
基本的にエステサロンを運営するために許認可が必要ないですが、施術内容によっては国家資格が必要です。
鍼灸やまつ毛エクステなどがメニューに含まれている場合は、はり師やきゅう師、美容師といった国家資格の保有者でないと施術できません。
いずれも、厚生労働省の所轄で、開業する際には保健所に届出が必要です。
不安な方や気になる方は、事前に保健所で自分がおこなう予定の施術内容を確認しておきましょう。
エステだけでなく、日本で何かの事業を始める場合は、「開業届」と「青色申告承認申請書」などを税務署に提出すると税務上有利です。
これらの書類を提出することで、事業に関する支払いを経費にできたり、控除を受けれたりします。
一方、「開業届」や「青色申告承認申請書」を提出し忘れると、多くの税金を支払わないといけない事態になる可能生もあるでしょう。
開業に関する内容は、後ほど詳しく解説します。
資格がなくともエステは開業できますが、自身の技術やお客様から信頼を得たい方は民間資格の獲得を目指しましょう。
民間資格は国家資格ではないものの、自身が技術や知識を身に付けた証明になるため、周りから信頼や安心感を獲得できます。
特に、知名度が高い資格を獲得すると、就職や転職に有利になるため、仮に事業が失敗しても新たな働く環境が見つかりやすいです。
また、事業が上手くいき従業員を採用する際には、技術や資格を証明する資格を持つ人を採用すると安心できます。
JEEC(特定非営利活動法人日本エステティック機構)では、2020年3月時点の合格証書保有者数は3万1千人でした。
さらに、日本エステティック協会がこれまでに輩出してきたエステティシャンは9万人以上であることから、大多数のエステティシャンが資格を持っているといえます。
エステティシャンとして、一定水準の知識と技術を持つことを証明できるのが合格証書です。
つまり、消費者から資格保有者は安心・信頼できるエステティシャンとして認知されるでしょう。
現在、民間資格は大きくわけて4種類です。
知識や技術を証明できる民間資格ですが、決してすべて取る必要はありません。
日本にはさまざまなエステティック業に関する団体や資格が存在するため、どの資格を取ればよいか迷っている方もいるでしょう。
では、4つの民間資格を解説します。
日本エステティック協会(AJESTHE)は、1972年に設立した日本のエステティック業界の普及と発展を目的としている団体で、AJESTHEはアジェステと読みます。
AJESTHE認定エステティシャンは、基本的な技術や知識を持ち、担当範囲のエステティックサービスを適切におこなえるエステティシャンとして証明できる資格です。
資格を取得するには、日本エステティック協会に入り、教会指定校で300時間以上のカリキュラムを修了とエステティックに関する実務経験を1年以上おこなう必要があります。
受験費用は、筆記試験が10,560円、技術力確認試験が13,640円です。
日本エステティック業協会(AEA)は、全日本エステティック業連絡協議会として1987年に設立し、AJESTHE同様に日本のエステティック業界の発展を目的としています。
AEA認定エステティシャンは、基礎知識と技術を持ち、禁止事項や注意事項を把握し安全にサービスを提供できるエステティシャンとして証明できる資格です。
資格を取得するには、協会認定校で300時間以上のカリキュラムを修了するかエステティックに関する実務経験を1年以上おこなう必要があります。
受験費用はAJESTHE同様に、筆記試験が10,560円、技術力確認試験が13,640円です。
CIDESCOは、世界的に知名度が高いエステティックの国際団体で、エステティックに関する技術の普及やエステティシャンの育成に力を入れています。
CIDESCOの試験合格者は、エステティックの知識と技術が世界レベルであることが証明できるため、将来海外で働きたい方におすすめの資格です。
ビューティー・セラピー・ディプロマの取得方法は、「学生受験」と「一般受験」の2パターンあります。
学生受験とは、CIDESCO国際認定校を卒業して資格を取得する方法です。
学生受験での資格取得条件は
一般受験の資格取得条件は
受験費用は、1次試験が10,300円、本試験は61,000円です。
ビューティー・セラピー・ディプロマは、AJESTHE認定エステティシャンやAEA認定エステティシャンよりも資格取得条件が厳しく、試験項目も多いため、中上級者向けの資格といえます。
日本エステティック機構(JEO)が主催の「JEEC試験」に合格すれば、エステサロンやスパなどの就職に役立ちます。
さらに、エステサロンで実務経験を積むことで、将来的に個人で独立することも可能です。
資格を取得するには、日本エステティック協会・日本エステティック業協会・ソワンエステティック協会いずれかの指定校で300時間以上のカリキュラムを終了するかエステティックに関する実務経験を1年以上おこなう必要があります。
受験費用は、筆記試験が10,560円、技術力確認試験が13,640円です。
サービス業であるエステにおいて、お客様との信頼関係を築くことは大切です。
信頼を得るには、お客様が満足していただけるサービスを提供することが重要となります。
つまり、お客様から信頼を得るために技術や知識を身に付けることが必要です。
お客様からすれば、同じ経験や技術を持っているエステティシャンでも資格の有無で安心感が異なります。
お客様に安心・信頼を与えるには資格の取得がおすすめです。
資格には有効期限が存在します。
資格によって、異なりますがAJESTHE認定エステティシャンなら3年に1度、AEA認定エステティシャンなら5年に1度、更新手続きが必要です。
有効期間は長いものの、更新手続きがめんどうに思われる方もいるでしょう。
有効期限から3年以上経過すると資格が失効しますが、未納入期間の更新費用を支払うことで失効した失格の更新が可能です。
不安な方は、自身が保有している・取得したい資格の有効期限を事前に確認しましょう。
美容専門学校で学んでからエステティシャンになる方法が一般的なルートです。
美容学校では、総合美容の知識・技術、エステティックの知識・技術を学べますが、学費が2年間で約200万円かかります。
さらに、資格の試験費用も1万円以上かかるためある程度のお金が必要です。
エステサロン営業をおこなう際、施術内容によっては国家資格が必要になります。
主に必要になる資格は、はり師、きゅう師、美容師です。
では、施術内容ごとに必要な国家資格を紹介します。
はりやきゅうを扱う施術には、資格が必要です。
はりやきゅうを使用し、健康回復を助けたり治療したりする鍼灸師ですが、資格名ではありません。
はり師、きゅう師と2つの資格に分かれており、各試験に合格することで免許を受けることができます。
受験を受けるには、専門学校や大学の鍼灸学科などで3年以上の学習が必要です。
フェイシャルエステの施術に特に必要な資格はありません。
しかし、化粧ノリを良くするために顔の産毛を剃ったり、シェーピングしたりするには美容師法に基づき、保健所への届出が必要です。
首から上の施術は、理容師・美容師の施術範囲となっており、化粧品や医薬部外品を用いる場合は理容師・美容師免許が必須となります。
エステサロンを開業する際に必要な許可は、税務署に提出する開業届のみです。
開業届とは、個人で事業を始める際に開業準備から1カ月以内に税務署に提出する書類を指します。
仮に、開業準備から1カ月を過ぎても特にペナルティはありません。
個人でエステサロンを始めるには、開業届の提出が必要です。
では、開業する際におこなうべき手続きを見てみましょう。
個人で新たに事業を開始する場合、税務上の観点から見ても税務署に開業届を出す必要があります。
個人エステの場合、「個人事業主」か「法人」のどちらかを選ばなくてはなりません。
一般的には、個人事業主で事業を始め、売上が多くなってきてから法人化を目指します。
法人になると、必要な固定費が発生するため、始めは個人事業主で登録しましょう。
個人事業主で開業した場合、確定申告には「青色申告」と「白色申告」の二種類があります。
基本的には、得られるメリットが多い「青色申告」を選択する人が大半です。
個人事業主として開業する場合、管轄の税務署に開業準備を始めた1カ月以内に「個人事業主の開業届」を提出します。
手続き自体は簡単で、書類の必要箇所に記載だけです。
開業届を提出することで、個人事業主向けの共済などへの加入や屋号を使った銀行口座の開設、青色申告で税申告できるなどのメリットがあります。
青色申告すると、最大65万円の特別控除を受けられ、最大3年間の赤字を繰り越せるなどの優遇があるため税務上で有利です。
開業届は、国税のホームページか管轄の税務署でもらえます。
開業届を書く際の手順は以下です。
開業届の記載内容は、間違っていても修正できます。
詳しい記入箇所については、こちらをご覧ください。
青色申告承認申請書の正式名称、「所得税の青色申告承認申請書」は、青色申告をおこなう場合には事前に必ず提出しなくてはなりません。
提出しなかった場合は、自動的に白色申告となるため注意しましょう。
青色申告承認申請書の書き方は、基本的に開業届と同じです。
所轄の税務署で、開業届と青色申告承認申請書をもらうことができ、記載方法も詳しく教えてもらえます。
不安な方は、税務署の従業員に気軽に聞いてみましょう。
開業届と青色申告承認申請書の手続き時間は、混み合いにもよりますが大体5分程度です。
青色申告をおこなう場合は、その年の1月1日から12月31日まで課税金額を、翌年の2月16日~3月15日の期間に申告しなければなりません。
ただし、災害などの理由により期間中に申告で・納付ができない場合は、2か月間期限を延長できます。
この記事では、エステの開業に必要な準備や資格を紹介しました。
エステサロンを運営するために資格はありませんが、施術内容によっては国家資格が必要になります。
自身の技術や知識を証明できる民間資格の取得は、顧客の増加を促進できるでしょう。
また、仮に事業が失敗しても資格を保有していると就職や転職に有利になります。
個人で事業を始める際は、税務署で開業届と青色申告承認申請書を提出し、可能な限り税制面の優遇を受けることが大切です。
エステ機器にはさまざまな種類があり、目指すサロンによって購入する機器は変わってきます。サロンのコンセプトに沿った正しい機器の選定が重要と言えるでしょう。また、保証やアフターフォローの有無は、その後のサロンの運営に大きく関わります。
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