株式会社医道メディカル 代表取締役 陰山康成先生と大畑綾子の美容対談
- 綾子:
- 今回の対談は、歯科医療からスタートし、一般医療、そして腸内フローラの研究をされていらっしゃる陰山先生です。宜しくお願い致します。
- 陰山:
- 宜しくお願い致します。
うちの医療のコンセプトは基本的に予防医療なんです。
予防医療には一次、二次、三次があります。一次が運動や食事で、二次は早期発見と早期治療、三次がリハビリと再発予防です。
当院で謳われ始めたのが、0次予防です。0次予防とは、その方にぴったりの食事の取り方などのことで、例えば、肉をたくさん食べれば食べるほど元気になる方と、肉を食べると早死にする方がいます。これは遺伝子によって全然違います。それも遺伝子学的に、統計学的に弾き出されてる結果があるのです。
まずは人の遺伝子を全部調べて、遺伝子別の食事の取り方や運動の仕方を知ることですね。お酒との付き合いも同じくです。お酒は環境因子がほとんど関係なく、遺伝子検査の結果に基づいて、飲める人飲めない人というのがすでに決まっているんです。
- 綾子:
- 先生はちなみにどうなんですか?
- 陰山:
- お酒の強さは1~9段階で分かれています。1、2、3はどう頑張っても飲めない方です。4、5、6の方は飲むと赤くなってしまいます。7、8、9の方は飲んでも赤くならなくて、9が一番強いです。私は8です。
- 綾子:
- お強いんですね。
- 陰山:
- 要するに、その遺伝子がわかるとお酒との付き合い方もわかるんです。あるいは、コーヒーががんを予防してくれる方と、コーヒーががんの促進因子になる方とがいて、その遺伝子によって違います。
- 綾子:
- そこまで細かくわかるんですね。
- 陰山:
- わかります。不思議なことに肉体的な要素だけでなく、メンタルまでもそうなんです。ストレスに強いのか弱いのか、社交的かそうでないか フローラで決まるんですよ。太る痩せるということに大きく影響する菌がいたりします。
大体、菌は一緒に生活している人と感染し合います。我々が生まれ落ちる前までのお腹の中にはもともと菌は一匹もいません。生れ落ちる瞬間、そこから母親の母乳の中にいる菌や抱っこする父親の手に付いている菌、10歳ぐらいまでに両親の持っている常在菌の感染を受けるので、遺伝子ではないけれども両親に似るというのは、腸内フローラや皮膚のフローラの感染の影響が大きいです。
- 綾子:
- それはありますよね。
- 陰山:
- これはものすごく面白い世界で、こちらでは少しエンターテインメント性も持たせて、検診やエステでも使えるような痩身、美肌づくり、総合的な若返りのアンチエイジングといったものを目指した医療をやっています。
これにプラスして、我々に寄生しているフローラを調べるということをしています。女性の場合は婦人系器官にいるフローラの影響がものすごく大きくて、更年期障害や婦人科系の疾患などは腸内フローラ、子宮内フローラが整っている方はなりにくく、子どもができやすいのです。できやすいできにくいにも非常に関係が大きいんですよ。
- 綾子:
- それを調べれば、今悩んでいる人は解決できますよね。
- 陰山:
- まずは副作用がないですしね。腸内フローラと婦人系器官のフローラがすごい相関しているんですよ。
- 綾子:
- そういうことなんですね。腸だけだと思っていました。そもそもどうして陰山先生はフローラと遺伝子の分野に入られたんですか?
- 陰山:
- 予防医療は一つの大きなテーマでしたからね。「食事内容に気をつけてください」「運動しましょう」と言ってもなかなかしてくれないじゃないですか。メンタルを根こそぎ動かさないと行動は起きないんですよね。そこで、「あなたの遺伝子はこうだから、他の人には肉が合うけど、あなたには合わないので、野菜を食べたほうがいいですよ」と言えば、すごく響くんです。薬だけでは治らない病気は実は巨万とありますからね。そこに対して一石投じられるというあたりはこの分野の醍醐味です。
- 綾子:
- どういう醍醐味ですか?
- 陰山:
- 我々にとっての醍醐味はやはり人の治せない病気を治すことです。そのあたりが急激にできる可能性が高まっていますし、実際に結果も出てきていますので、ここ最近が医療としては一番面白くなってきています。
医療にエンターテインメント性がないじゃないですか。やはり医療も基本はサービス業ですから、エンターテインメント性とかホスピタリティとかが必要だと思います。元々ホスピタルですからね。エンターテインメント大事ですよ。人口知能が医療の中に入ってきていますので一番高い確率で治る治療法が提示されるようになります。今は薬がメインですが、そのうちバイオテクノロジーが一番効くという事になるかもしれませんよ。
- 綾子:
- バイオテクノロジーが薬より効くとおっしゃられましたが、どうしてでしょうか?
- 陰山:
- 結果が出ているからです。例えば、潰瘍性大腸炎というのは薬だと治る確率が20%ぐらいですが、今うちだと96%なんですよ。
今までは薬の治療法しかありませんでしたが、楽しくなってしまうほど治るんです。
- 綾子:
- そこにわくわくされるということですね?
- 陰山:
- そうですね。
- 綾子:
- それを知っているのと知らないのとだと、その人にとって幸せか不幸かが全く変わってきますよね。難病だと思っていた人が先生の情報をどこかでちょっと聞いて来てみたら治ったという人生と、知らないでずっとお薬を飲んでいて治らないと苦しんでいる人生とでは全く違いますよね。
- 陰山:
- その一つが不妊治療ですよね。すごい高いお金をかけ それでも成功確率はすごく低いと言われていますよね。それが女性のクリスタパス菌を増やすだけで、劇的に不妊治療がうまくいき始めているんです。
- 綾子:
- そこまで違うんですか?
- 陰山:
- 全然違います。治らなかった病気が治ったということで感謝されたりもします。
- 綾子:
- クリスタパス菌というものを増やしてあげれば、妊娠率が上がるということですか?
- 陰山:
- そうです。そして今 多くの女性が多様な更年期症状に悩んでおられますね。年齢を重ねるごとに卵巣の機能が低下し、ホルモンバランスが崩れ、様々な不調があらわれます。こういった時にクリスタパス菌を増やすと、更年期障害が改善されるんですよ。
- 綾子:
- 更年期障害も改善されてしまうんですね。
- 陰山:
- 緩和されます。
- 綾子:
- 結婚前にブライダル検診をして破談になってしまう方もよくいますよね。それが防げるようになるということですよね。それは良いですね。
- 陰山:
- 不思議なことに生命体のメスの中で婦人系の中に乳酸菌クリスタパス菌がいるのは人間だけなんですよ。付き合うべき女性は いかにクリスタパス菌が多い女性かというところですね。
- 綾子:
- 新しいですね。
- 陰山:
- フローラはめちゃくちゃ面白いです。
- 綾子:
- 先生の経歴を拝見したら歯医者さんからお医者さんになられたんですね。
- 陰山:
- そうなんです。よく調べましたね。歯医者として東京で開業したんですが、29歳の時に大学病院を辞め、人口500人の出雲の国の日本神話にでてきます知夫里島へ行きました。2年間針治療と歯科をしておりました。その後 島から戻り、医学部へ入り直し、医師免許を取りました。いろいろありましたね。
- 綾子:
- 相当頭が良かったんですね。先生が取り組まれている予防医療の「健康で長生きする」ということと、世の中の女性が願う「美しく生きたい、なりたい」ということの両方を叶えるには何が大事だと思いますか?
- 陰山:
- 美と健康は一対ですので、どちらもダメか、どちらもOKかだと思いますね。美に対しても健康に対しても、飽くなき貪欲な生き物は女性ですので、美と健康を全女性が追求し尽してほしいなと思います。やはり、その肝はフローラだと思いますね。
- 綾子:
- エステの先生方も技術だけではなく、そうした深い知識なども必要になってくると思いますが、どこか学べるところはありますか?
- 陰山:
- うちの学会主催で、ゲノムとフローラを勉強する会があります。エステサロンでは美しくなれるっていうモチベーションがあるので、その存在は大きいですよね。
- 綾子:
- そうですね。
- 陰山:
- 女性の本気度が高いじゃないですか。
- 綾子:
- そうですね。本気度が高いのと、大きいエステから小さいエステまで昔から平均して変わらずありますので、これからのエステサロンは『気軽な町の相談室』みたいな存在になっていくべきではないかと私自身は思っています。
- 陰山:
- そうですね。医療的なバックアップがあったほうがいいときもあるので、そうした意味では医者を仲間に付けるということはそこまで悪いことではないと思います。そうしたことが我々のやっていきたいところですので、またいろいろとタッグを組ませていただけると嬉しいです。
陰山 康成
株式会社医道メディカル 代表取締役
医学博士。東海大学医学部客員准教授。東京大学分子生物学研究所非常勤講師、上海中医薬大学員教授。品川メディカルモールでの臨床のかたわら、オミックス医療の研究に携わっている。